あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2017年は本当に早かったです。
簡単に振り返ってみたいと思います。
年明け早々資格試験(第一種衛生管理者)の勉強を余儀なくされ,1月はそれに相当の時間と労力を割くことになりました。慣れない化学用語や生物学の基礎など,時間がない中で本当に辛かったです。一回で合格して本当に助かりましたが。
名古屋大学の客員教員をさせてもらったのは大きかったと思います。6月に一週間,名大の研究室で過ごしました。日常から離れて,自分の研究と向き合う時間をいただきました。滞在中に客員教授招聘セミナーを行ったのですが,その向き合った結果の一端を形にすることができました。
2017年のブログの所信表明では,「自分なりの研究」を見つけて,それに力を注ぎたいと書いていました。今までが,(社会的・政策的に)求められることをベースに物事を考えたり,書いたりしてきたように思うのですが,そうではなく,自分が知りたいことや納得することを探究して表現していきたいと書いていました。もちろん,業務や高等教育開発という文脈では,求められることに応じるというスタンスは重要です。ただ,研究という営みをその連続線上で捉えるのではなく,一端切り離して捉える必要がある,そこから,また業務や高等教育開発の在り方について見直すことができるのではないかと考えてきました。
そこで行き着いた現時点での回答が「(学生)エンゲージメント」でした。この概念が,私が常に抱いていたモヤモヤを解消し,前進させてくれるテーマだと。ずっと探してきた(青年)心理学者としての私と高等教育開発者としての私とが交差するテーマであり,自らが知りたい,書きたいと強く感じるものでした。
もちろん,以前からこの用語は論文等でも読んだり書いたりしていたのですが,そこでは学生調査の枠組みの中で要素として捉えていたに過ぎず,この概念の持つ懐の深さにまでは行き届いていませんでした。
名大のセミナーを皮切りに,少しずつこのテーマについて深めていきながら,高等教育の在り方について自分なりのスタンスで表現していきたいと考えています。
・きっかけとなった名古屋大学高等教育研究センターの第85回客員教授セミナー(2017年6月22日)
「学生エンゲージメントと大学教育の質的転換−教学IRをどう活用するかー」・・・開催報告(
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/seminar/170622_yamada/)
・上記セミナーを元に論文を執筆(2018年3月刊行予定)
山田剛史「大学教育の質的転換と学生エンゲージメント」『名古屋高等教育研究』第18号
・上記論文で書ききれなかった点を含めて論考を執筆(2018年3月刊行予定)
山田剛史「学生エンゲージメントが拓く大学教育の可能性ー改めて「誰のための」「何のための」教育改革かを考えるー」『第3回大学生の学習・生活実態調査報告書(仮)』ベネッセ教育総合研究所
講演などでも,「アクティブラーニング」や「教学IR/学習成果アセスメント」,「3つのポリシー」や「内部質保証」など政策的に進められているものについてのオーダーが多いわけですが(それ自体は大事だと思っているのですが),可能な限り「学生エンゲージメント」を絡めてこれらのテーマを位置づけて,自分の言葉でお話しするようにしています。
その効果もあってか,今年7月に開かれる某学会大会では,学生エンゲージメントがメインテーマに据えられ,当方はその基調講演/コメンテーターを努めさせていただくことになっています。
科研費にもこのテーマで申請を出しているので,4月から更に助走を付けていければと思います。
その成果を,論文や講演,できれば書籍の形にまとめていければと考えています。
昨年12月にいよいよ40歳になりました。
「四十にして惑わず」
とは言うものの,まだまだ惑いながらの毎日です。
研究テーマも落ち着き,他大学や国の大学改革支援や東山中高を始め中学・高等学校でのアクティブラーニング推進など社会的活動もそれなりに充実していますが,学内の教育改革・改善・向上支援はやはりなかなか大変です。
2017年度は,当方が中心になって進めている文科省の補助金事業で相当大変な思いをしています。それでも誠実にやり続けること。少しずつ種を巻いて,少しずつ信頼を得ていく。それしか道はないと思います。
大学院生の指導(研究室運営)もまだまだ板についておらず,悩みながら進めています。
まだまだバランスの取れた教員人生は歩めていませんが,悩みながら迷いながらそれでも一歩ずつ着実に前に進んでいきたいと思います。
そして何より家族との時間を大切にしながら,みなが健康で笑顔のある日々を過ごしていきたいと思います。
みなさまにとっても素敵な一年になりますように。
2018年1月1日
山田剛史